あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

リリーズ

 私は昭和二けた生まれです(うん、普通だね)

 令和生まれの人はまだほんの僅かですし、平成生まれは相当の勢力になっているはずですが、まだまだ昭和二けた生まれが日本の社会を動かす原動力となっています。

 いつでしたか「三丁目の夕陽」という映画がヒットし、昭和テイストがもてはやされた時期がありましたが、私が生まれたのはちょうどあの頃です。実は、東京タワーとは同級生なんです。向こうは私のことなんか知らないと思いますけど。

 昭和と言えば、歌謡曲が全盛の時代で、私が高校生の時くらいから、荒井由美松任谷由実)さんなど、いわゆるニューミュージックというジャンルで活躍される方が出始めましたが、防衛大学校に入校する時でさえ、歌謡曲は依然揺るがぬ王者の立ち位置を占めていました。

 ところで、防衛大学校で私が選択した語学はドイツ語でした。文系の学生は英語と第二外国語を学んでいましたが、理系は一つしか選択できなかったんです。以前別記事でも書きましたが、私は第二次世界大戦時のドイツ軍の戦車が大好きでしたので、その影響もありドイツ語を選択したのでした。

「ドイツ軍の戦車」の画像検索結果

 ドイツ語でドイツ語のことはDeutsch(ドイチュ)と言います。ん?なんだこれ、日本語で日本語のことを日本語と言いますと言っているようで変な文章だな。まぁいいか。

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 ドイツ語の教官は教授が一人だけで、あとは非常勤講師の先生が来られていました。この非常勤講師の先生が非常にユニークで、ドイツ語を研究する傍、音大で声楽も教えておられました。そんなこともあり、ドイツ語の授業中に、しょっちゅうドイツ語の歌を歌わされました。今でも諳んじている曲があります。以前、ビールのCMでも使われていたんじゃないでしょうか。

 「さぁ飲もうぜ兄弟!心配ごとなんか家に置いといて! 悲しみや痛みがなければ人生は冗談みたいなもんさ」という実に楽しい曲で、ビアホールなどで大合唱になることもあるらしいです。

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 そんな、ちょっと型破りな先生は、学習院出で学者の家系に連なる方ですが、決してお坊っちゃまではなく、多才で人間味があり、ちょっとワガママで、時には凄みを効かせることもある、まぁ、いわゆる魅力的な方でした。

 時々、私を含め何人かの学生を、自分が属するドイツ語の研究会に連れて行ってくれるのですが、いつも「制服を着て来い」と厳命されました。上智大学の正門を通る時には守衛さんが「なんだこいつら」的な顔をしてましたが、先生は「こいつらは大丈夫だから」と言ってました。何が大丈夫なんだよ、失礼な(╹◡╹)

 ある時、研究会に行く前に「新宿の書店に寄ってく」と仰せられるので、我々下僕も付いて行ったのですが、書店のフロアに向かうエレベーターの中で「実はな、この書店で、リリーズの娘がバイトしてるんだよ」と言うのです。なんだよ、それが目当てかよ。

 リリーズとは…歌謡曲全盛の昭和の時代に突然現れた、北海道夕張市出身の、清楚で可憐な双子のデュオです。私以上の世代には懐かしいアイドルですが、ちょっと下の世代には「はて?」な存在かも知れません。お若い方々には全くなんのことやらですね。

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 我々が、レジを済ませる先生の近くで待っていると、丁度シフト明けで帰るその方が「お先に失礼します」とレジの同僚に挨拶しながら通って行きました。大学生だったのかな、アイドル時代の可愛らしさとはまた違う、大人びた美しさを備えた知的な女性に成長されていました。

 先生は、「よしあの娘と一緒のエレベーターに乗ろう」と仰るので、我々は「出たよワガママ」と思いつつその願いを叶えるべく、すぐに後を追おうとしたのですが、先生は「まぁ、慌てるな、一息ついてから行こう」と仰るのです。怪訝な顔をする私たちの様子を楽しんでおられるようでした。そして、しばらくしてからエレベーターホールに行くと、なんとまだ彼女がいるではありませんか。

 そして、先生の思惑通り、彼女と一緒のエレベーターに乗り、すでに何度か言葉を交わしたことがある風の先生は二言三言、彼女と会話していました。

 エレベーターを降り、彼女と別れた後、先生は「女性はね、出かける前にはメイクを直すために必ずトイレに立ち寄るんだよ。お前たちは男ばっかりの生活だからそんなこと知らんだろ。ちゃんと覚えておけ」と仰いました。ええ、仰せの通り今でも覚えてますよ。でも、長い人生を歩んできましたが、この知識が役立ったことはただの一度もありません。本当に立派な教育者です(≧∀≦)

 さて、そのリリーズですが、デビュー2曲めの「好きよキャプテン」が大ヒットして、日本中がそれは大変な騒ぎになりました。渡辺プロに所属していましたが、ちょうど引退した同プロ所属の「ザ・ピーナッツ」の後継双子デュオとして育てて行こうという事務所の期待も大きかったようです、とても可愛かったですし。

 でも、そんな大人気のリリーズも、気がついたらいなくなってしまっていたのです。先生のちょっとした気まぐれのおかげで、彼女たちの現況の一端を知ることができ、ちょっとホッとしたのも確かです。

 彼女たちのアイドル時代がどんな感じだったか、動画で観てみましょう。

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 そして、この記事を書くために上の動画を探していたら、2016年4月6日に行われた東日本大震災復興支援イベントで歌われている動画を発見しました。場所がどこなのか、情報がありませんが、被災地の一つなのではないかと思います。熱烈なファンの応援も昭和テイストのままで、なんだかタイムスリップしたような感覚です。

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 なんと言いますが、とても素敵な齢の重ね方をしてこられたことがよくわかりますね。若々しいのもそうなのですが、何より、本当に楽しそうに歌うその表情です。

 動画の中で、私たちのCDも持ってきていると仰ってますから、芸能活動は続けてこられたのですね。なんだか嬉しくなりました。

 それにしても流石に双子ですね、息がぴったりです(╹◡╹)

 本当は、この記事は別のテーマのために書き始めたのですが、前置きの話題にするはずだったリリーズの動画が、どちらもあまりに素敵だったものですから、もうリリーズメインの記事にしちゃいました。

 書くはずだったテーマは、またいずれ(≧∀≦)