あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

艦上体育

 今回は、艦上体育について書いてみたいと思います。

 艦艇勤務で問題になるのが「運動不足」です。海上自衛官は、週3時間以上の体育が義務付けられていますが、陸上にある部隊や航空部隊などでは、義務など課されるまでもなく体育は盛んに行われています。

    でも、洋上にあることの多い艦艇部隊の場合、なかなか体育の時間を捻出するのが難しいのです。上甲板や艦内のトレーニング施設を利用した体育が奨励されてはいますが、様々な任務を遂行しつつ、年度計画に基づく練成訓練のスケジュールをこなしていきますので、特に日中は、上甲板がいつでも使える訳ではありません。そこで、艦上体育の時間を設けて多くの隊員が体力錬成を行い易い環境を作っています。

 遠洋練習航海部隊の公式ページに掲載された数多くの写真の中に、艦上体育の様子を伝えるものが何枚かありますので、見ていきましょう

 

5月28日(火)第1レグ(横須賀〜パールハーバー

 これは、「かしま」の飛行甲板を利用した綱引き大会の様子です。飛行甲板は結構広いですが、通常の綱引きのようにロープを直線上に伸ばして、対戦チームが両側から引き合うことができるほどのスペースはありません。そこで、テークル(滑車)を介して両チームが同じ方向に引き合う形で行います。

 綱引きって、ものすごく単純なだけに妙に盛り上がりますよね。

 大会の後の集合写真です。令和元年 第1回司令官杯争奪戦「綱引き大会」とありますので、何回か行われるのでしょう。

  5月31日(金)第1レグ(同)

 これは、合気道の組手稽古でしょうか。向こう側では腕立て伏せをしていると思われる隊員の脚が写っていますね。こうして、艦上体育の時間を使って思い思いの活動が行われています。

6月1日(土)第1レグ(同)

 「かしま」の飛行甲板を夕陽に向かって走る隊員。甲板上でのジョギングは艦上体育の王道です。上甲板を周回トラックに見立てて、皆同じ方向に走ります。

 

 6月9日(日)第2レグ(パールハーバー〜サンディエゴ)

 こちらは、艦内のトレーニングルームでの筋トレの様子です。両手にダンベルを持つ隊員のTシャツには「FIRST BATTALION(第1大隊)」とありますので、防衛大学校出身の実習幹部かも知れません。

 最近の護衛艦は艦体が大きいので、このような広い空所がたくさんあるのでしょう。私が乗っていた小さな随伴艦には、こんな立派なトレーニングルームはなかったと思います。

 

7月18日(木)第3レグ(サンディエゴ〜プエルトケツァル)

 艦上体育の王道、ジョギングで汗を流す隊員のみなさん。楽しそうに走ってますね。護衛艦「いなづま」でしょうか、「かしま」とは逆で、反時計回りに走るルールのようです。

f:id:RetCapt1501:20190823040036p:plain

 オーシャンビューを楽しみながら上甲板を走るのは楽しいのですが、気をつけなければならないことがあります。たとえ晴れていても、鋼鉄製の上甲板は常に波しぶきに晒されていますから、滑り易いのです。みなさん、滑り止めの表面加工が施されている通路上を走っていますね。

 また、艦は常に上下左右に動揺しながら航行していますので、揺れる大地の上を走っているようなものです。その動きはだいたい予想できるのですが、うねりの状況などで予想以上に艦体がせり上がってくることもあります。鉄板の上を走るだけでも足腰へのインパクトは小さくない上に、不意のせり上がりなどがあると、やはり足腰への負担が大きくなります。

 

8月5日(月)第7レグ(マサトラン〜パペーテ

 こちらは、時計回りに走る「かしま」のジョギングですね。サングラスをかけた女性隊員は、膝への負担を軽減するサポートタイツを着用しています。上甲板でのジョギングの際には、暑いとは思いますが、このようなタイツを着用した方が良いでしょう。

 さすがはアスリート系歌姫ですね(╹◡╹)

f:id:RetCapt1501:20190823035806p:plain