あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

東京音楽隊を見学してきました

 湘南水交会の計画による東京音楽隊見学に参加してまいりました。

 とても楽しみだったものですから、集合時間の1時間半も前に用賀駅に到着してしまいました。

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 用賀駅で降りるのは初めてでしたが、全般に大変美しく整備されているのに驚きました。駅の周囲には昔ながらの商店街がや住宅街が落ち着いた佇まいを見せ、暮らしやすそうでいい街だなぁと思いました。

 時間がたっぷりあるので、昼食がてら、駅から伸びる道の一つを散策してみました。「ようが商店街 美術館通り」と表示されていましたが、美術館どこにあったのかな。

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 そうこうしているうちに、集合時間である1230(ひとふたさんまる)が近づいてきましたので、駅の改札口に戻ります。すでに10名ほどのメンバーが集まっていましたが、存じ上げない大先輩ばかりのようです。その中に1期先輩のMさん(元呉総監)を見つけちょっと安心しました。本当の紳士が甲冑を纏っているかのようなイメージのあるM先輩は、物腰も言葉も大変ソフトですが、確固たる信念の下に繰り出されるメッセージには愛国者・武人としての気概・気骨が溢れる大変魅力的な方です。私にとっては、久しぶりにM先輩にお会いできたことも、今回の見学の大きな成果でした。

 東京音楽隊から、第三種夏制服に身を包んで我々を迎えに来て下さったのは、音楽科長の本田航司2等海尉でした。そう、先日のランチタイムコンサートで躍動感溢れる指揮ぶりを披露して下さった、あの本田2尉です。

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 東音までは歩いて進出するものと思っていたのですが、暑い日でしたし、高齢者が多いことを考慮して下さったのか、マイクロバスが用意されていました。

 東音の敷地内に到着し、バスを降りますと、玄関前には当直士官と当直海曹が敬礼で出迎えて下さいました。もちろん初めての訪問でしたが、これまで多くの動画や写真で何度も見ているので、なんだか初めての気がしません。

 私とM先輩は最後にバスを降りたので13〜14人いる見学者の最後尾で建物に入ります。入ってすぐ右に当直室の窓があるのですが、中を見ると、サックス奏者の在川詩織さんが3種夏服姿でこちらを向いて座っています。そして、その脇に立つ戦闘服姿の岩田さんが在川さんと何やらやりとりしているのが見えました。たまたま岩田さんと目があったので、片手をあげてご挨拶。岩田さんもいつもの笑顔で会釈してくださいました。

 私たちは、その当直室の隣にある小さな会議室のようなところへ案内されましたが、鰻の寝床のように細長いその部屋に、長テーブルを囲むように置かれたソファーのうち、両脇の長いソファーには、すでに大先輩方が座っておられ、最後の3人は一番奥の上座に置かれた3つの一人がけソファーに座らざるを得ませんでした。で、M先輩に「どうぞ玉座へ」と真ん中の席を勧め、私はその右隣に腰掛けました。

 ここで、本田航司2尉から説明がありました。この後、1315(ひとさんひとごー)から、明後日の蒲郡での演奏会の最終リハーサルを行うので、それを見てもらうが、リハーサル中の写真・動画の撮影は控えてもらいたいとのこと。蒲郡で演奏会を行うのは今回が初めてであるため地元の期待が大変高く、東音としても期待に応えるため様々なサプライズを用意しているので、事前のネタバレが起きないよう細心の注意を払っているという事情を理解して欲しいとのことでした。私は動画撮影した場合には、蒲郡はもちろん、翌日の名古屋公演が始まる前には絶対にアップしないことを決めていましたが、この説明を聞いて、文字での公開も控えなければと改めて思いました。

 ですから、今回の見学報告に動画はありませんし、この記事では演奏内容に立ち入ることはしません。名古屋公演開始後に、蒲郡の演奏会と合わせ、演奏内容についての記事をアップしたいと思います。

 本田2尉によりますと、5月25日(土)つまり今日、上用賀を出発して蒲郡に入り、(おそらく午後から?)、地元蒲郡のジュニア吹奏楽団への演奏指導を行う予定とのこと、今頃演奏指導中でしょうか。

 そして、26日(日)に本公演を行い、名古屋へ移動。27日(月)には名古屋公演を行う段取りになっています。因みに両公演の演奏内容は同じではないそうです。

 更に、今年度の予定を次々と教えて下さったのですが、異常なほどの過密スケジュールに皆驚きました。後刻、本田2尉に「今日お聞きしたスケジュールは、ブログ等で公開しても構いませんか?」とお聞きしたところ、「一応公開可能なものしかお話ししていないので、問題はないと思いますが、例えば地方公演の予定などは、地元に公開されていないものも当然ありますので、情報に接した方からの問い合わせが殺到するであろう地方協力本部がてんてこまいになるかも知れません。その辺はご配慮ください」とのことでした。ということで、内容を精査した上で、「東京音楽隊の今後の予定」という記事を別仕立てで書きたいと思います。

 ただ、一つだけ特筆すべきことをここに書きます。年明けに予定されている定期演奏会は、なんと、今年同様サントリーホールで行われるそうです。他のホールに比べ、施設利用料は割高ですが、何といっても日本を代表する素晴らしい音響を誇る同ホールでの演奏会は、格段の集客力が期待できますし、また、演奏する隊員の士気を高める効果もあるとのことでした。今年の同のホールでの定期演奏会は、本当に素晴らしいものでしたし、次回の定期演奏会にも期待が高まります。当選すればの話ですけど(≧∀≦)

retcapt1501.hatenablog.com

 さあ時間です。私たちは、案内されるままに「奏楽堂」へ。一度は訪れてみたかったこのホール。ドアを抜けると巨大な空間が広がります。音楽隊の皆さんはすでに各自の席に着いています。入り口を入ってすぐ右に数人の隊員さんが控えていましたが、演奏会でのサプライズに深く関係するので、名前も含めこれ以上は申しません。

 隊員の皆さんは全員、戦闘服(迷彩服)に身を包んでのリハーサルです。実に見栄えがします。本番の演奏会もこれでいったらいいんじゃないかな。観客にすごく受けると思いますし、音楽隊の皆さんもその方がリラックスできるし。そうも行かないのかな。

 さて、観客席は、折りたたみ椅子が二列に並べられています。もちろん前の列に座りたいですけど、諸先輩を差し置いて、昨年入会したばかりの新参者が前席に座るのも気が引けます。そこで、M先輩に「Mさん、どうぞ玉座へ」と前列中央やや左側の席をお勧めし、私はちゃっかりその左隣に座ることができました。M先輩、大変お世話になりました。しかも、後からわかるのですが、この席が私にとってはこの上なく最高の席となりました。内容は書きたいけど、書けません(≧∀≦)

 これだけはいいかな?MCは、ハープの荒木美佳さんでした。久しぶりに聞く荒木節は今回も冴え渡っていました。河口侑也さんは、今回はクラリネット席で演奏に専念されていましたが、何というかとても溌剌とした、爽やかな良い表情をされていました。MC経験が自信となって滲み出るのかもしれません。

 第一部では4曲が披露され、15分間の休憩に入ります。ここで、本田2尉から「隊員と直接触れ合う機会は今しかないと思いますので、前半の演奏をお聴きになって気になった隊員がいましたらどうぞお気軽に声かけしてください。いや、無理にとは言いません」と笑いを取ります。普段の演奏会などで、このような隊員との触れ合いを促すアナウンスはありませんが、やはりそのような機会が大切だとの認識が音楽隊の側にあることを確信しました。以前赤嵜尚子さんとお話しさせて頂いた際にも「声かけされると、嬉しいし励みにもなります」と仰っていました。ファンの側にも、音楽隊員の側にも直接触れ合うことには少なからぬメリットがあるということだと思います。

 私も「気になっている」隊員さんがいましたので、そこへ行きました。え?言わなくてもわかっているから言わんで良い?言わせてくれ(≧∀≦)

 その隊員さんは、もちろんコントラバス奏者の岩田有可里さんです。

 今回のリハーサルでも、終始小気味よいベースラインを存分に堪能することができました。詳細を書けないのが残念ですが、素晴らしい演奏でした。

 お話ししている最中、岩田さんが私の背後を気にされているようでしたので、振り返ると、一人のご婦人が立っておられました。聞くところによると、昨年の自衛隊音楽まつりで「艦旗隊」のメンバーに選出された女性隊員の母上とのこと。そうでした、昨年の音楽まつりの際、たまたま遭遇した岩田さんから「今年は艦旗隊の指導に当たっていたので、旗持ちをやりました」とお聞きしたのを思い出しました。その際、岩田さんにお世話になったことへのお礼を伝えたかったとのことです。

 この方(MMさん)が、コントラバスを間にした、岩田さんとのツーショット写真を撮影してくださいました。ありがとうございました。

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 写真を撮って頂いた後は、音楽科長の本田2尉から、いろんな話を聞かせていただきました。現場の生の声をこんなにじっくりお聞きする機会はなかなかありませんので、私にとっては大変貴重な時間でした。本田2尉、お付き合いいただきありがとうございました。ますます東京音楽隊の魅力が見えてきました。

 他に目をやると、ハープの周りに人だかりができています。皆さんに取り囲まれているのはもちろん荒木美佳さんです。どんなやりとりがあったのかはわかりませんが、皆さんとても楽しそうでした。

 休憩時間もあっという間に終わり、第二部が始まります。

 第二部は、曲数も含めて内容は完全秘匿いたします。

 ただ、アンコールを含めた最終曲を演奏する前に、樋口隊長が、「本来なら、この後1曲やって終わりなんですけど、本日はサービスであと(ひみつ)曲やります」と仰ると歓喜の拍手が起きました。それは嬉しいですよね。おそらく、名古屋公演で演奏される曲なんだと思います。いつもサプライズとサービス精神の旺盛な東京音楽隊です。

 蒲郡、名古屋両公演に行かれる方で、この記事を読んで下さっている方がおられますでしょうか。内容は言えませんが、大いに期待して下さい。素晴らしい内容ですよ。

 リハーサルが終わり、全体の集合写真を撮ってくださいました。東音のホームページなどに時々掲載されている、鳥瞰写真です。東音のホームページに載ることはありませんが、水交会のホームページ(そんなものがあればの話ですが)や会誌「水交」に掲載されるかも知れません。私も奏楽堂の内階段を登った踊り場から、隊員の皆さんの写真を撮らせていただきました。

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  この後、2階の会議室(かな?)でコマンドブリーフィングを受けました。コマンドブリーフィングとは、見学者等に対し、当該部隊の概要などについて説明するもので、いわゆる部隊概要説明でしょうか。

 ブリーファーは、教育科長の渡辺1尉です。東京音楽隊は、海上自衛隊の音楽科員に対する基本教育を担っており、正式の教育過程である「海士音楽過程」と「海曹音楽過程」を担当しているのが教育科だそうです。教育レベルは高く、音大の大学院相当の教育が施されるそうです。音楽史(海軍軍楽隊の歴史も含む)、和声学、編曲法などを、部外の名だたる講師を招いてしっかりと学ばせているということでした。和声学や編曲法では、曲というものの成り立ちを十分に理解し、最終的には作曲や編曲ができるレベルまで持っていくとのこと。隊員の中には作曲・編曲を行う者がたくさんおり、演奏会など使用する曲も、クラシックをはじめ様々なジャンルの曲を吹奏楽用にアレンジして演奏しているのだそうです。

 ブリーフィングの内容はどれも興味深いものばかりでしたが、中でも私が「おっ」と思ったのが「パシフィックパートナーシップ2019」でした。パシフィックパートナーシップ(PP)は、私がまだ現役の頃から始まっていました。環太平洋諸国の中には、災害への脆弱性を抱える国や、そもそも社会インフラが十分に整備されていない国が少なくありません。そのような状態が社会を不安定にし、イスラム原理主義の浸透や、その他の様々な問題の原因になり得るとの認識のもと、米国が中心となって、海軍艦艇を域内各国に派遣し、医療支援(巡回診療のようなもの)や、施設・道路など、社会インフラの補修支援などを行ってきました。また、このような活動を平素から行っていることにより、実際に大災害等が発生した場合の各国海軍の連携が極めて円滑に行えるというメリットもあります。

 そんなPPですが、文化交流も必要だろうということで、今年3月から今月まで行われたPP2019では初めて軍楽隊も参加することとなり、東京音楽隊からホルン奏者の川上良司海曹長と、クラリネット奏者の清水恭子3等海曹が、20日間にわたり参加されたそうです。

 先日のランチタイムコンサートでご挨拶した際、川上良司さんが、やけに日焼けしているなと思ったのですが、連休中のバカンスではなく、連休返上で海外任務に就かれていたことを知りました。川上さん、清水さん、ご苦労様でした。

 あ、それから、遠洋練習航海部隊への隊員派出の説明の中で、「先日の出港行事の際に目にされた方もおられるかも知れませんが、今年の3月に横須賀音楽隊に転属となった三宅由佳莉3曹が、今回の遠洋練習航海部隊に乗組んでいます。いつどこに寄港するかについては情報提供できる段階ではないのですが、現在波と戦いながら東へ向け航行中と思われます」との説明がありました。

 コマンドブリーフィングが終わり、質問の時間に入りますと、参加者から次々と質問が飛び出し。皆さんの関心の高さが伺えました。

 その中から、いくつか拾ってまとめてみますと。

 現在の東京音楽隊の編成は70名体制、演奏者は52〜53名で、その他は経理補給関係の隊員、専従のドライバーなど、基地機能を担う隊員の他、音楽科員ながら演奏活動は行わない幹部自衛官という構成になっているとのことです。そのうち、音大・芸大卒は40名弱程度で、演奏者の7割以上を占めるとのこと。

 定年退職により欠員が生ずることがわかっているパートについて、毎年募集をかけるのですが、2〜3人の募集に対し、100人くらいが応募するような状態なのだそうです。30〜50倍の競争率です。皆さんのレベルが高いのも頷けますね。

 とても内容の濃い見学でしたが、見聞きしたことがたくさんありすぎて、とても一本の記事には書ききれません。相当絞ってもこんなに長くなってしまいました。

 あとはいつものスピンオフとして書いてみたいと思います。

 ちなみに、この記事は昨日帰宅したらすぐに書こうと思っていたのですが、見学チームの「反省会」が行われることになり、喜んで参加した結果、こんなに遅くなってしまいました。まだ頭が痛いです。

 どうでしょうか、リハーサルの動画を期待されていた方が多いかも知れませんが、そこは、東京音楽隊のサービス精神をより効果的にするための配慮ですのでご容赦ください。改めて演奏曲目等については記事を起こします。