あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

嵐の中の鹿島立ち(その2)

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嵐の中、環太平洋巡行に旅立つ「かしま」

 前回の続きです。できることなら、昨日、一本の記事でまとめたかったのですが叶わず、記事を分割せざるを得ませんでした。

 さて、出国行事が終わり、梶本大介・海将補(練習艦隊司令官)が、防衛副大臣に出国報告をしました。とても良い内容だったと思います。

 次いで、横須賀音楽隊が演奏する行進曲「軍艦」に合わせ、任官したての全実習幹部と各艦乗員代表が一列縦隊で行進しながら会場を後にしました。そのまま各艦に乗艦します。その様子を収めた動画をご覧ください。梶本司令官の報告冒頭、自らを「日本国練習艦隊司令官」と称するところにもご注目ください。

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 私たちは会場の中で見送らざるを得なかったので、彼らが各艦に乗組む様子を見ることはできませんでしたが、防衛副大臣が会場を出られた後に、大勢の参列者がゆっくりと会場を後にし、階段で下に向かいます。

 私が所属する湘南水交会は、会の横断幕を掲げて集合写真を撮る段取りになっていましたので、横断幕を探していると、斎藤さんとばったり出くわしました。

 写真撮影を終え、斎藤さんと私は厚生棟の1階まで降り、人の流れに従って駐車場まで行くと、なんと駐車場内に横須賀音楽隊が整列して演奏の準備をしていました。あぁそうか、音楽隊の雨天の位置はこの駐車場だったのか。「雨天の位置」とは、様々な屋外での行事の計画にあたり、雨天の場合を想定して定められた整列場所のことを指します。でも、本来、両艦のすぐ近くの岸壁で演奏するはずの行進曲「軍艦」や「海を行く」最後の「蛍の光」などが、この距離と強風のため、両艦には届かないかも知れません。とても残念な気がしました。

 私たちが音楽隊のすぐ脇で岸壁の様子を見ていると、随伴艦である護衛艦「いなづま」から出港ラッパに続き、威勢のよい「出港よーい!」がかかりました。すかさず、横須賀音楽隊による行進曲「軍艦」の演奏が始まりました、私たちのすぐ隣です。こんな天候でもなければ、このポジションで聴くことはなかなかできないですよね。

 「いなづま」は厚生棟のすぐ目の前に係留していましたから、横音の演奏もよく聞こえたでしょう。

 問題は「かしま」です。総監部前に係留していた「かしま」は厚生棟からは相当離れていますので、横音の演奏が聞こえづらいということもあるのですが、その前に、「かしま」の出港ラッパや「出港よーい」の号令がこちらに聞こえない恐れがあります。横音の指揮官もそれが気になっていたらしく、何度も「かしま」からの微かな音に聞き耳を立てていましたが、最終的には少し「かしま」の方に近づいて号令を確認していました。そしてそれを確認したところで、小走りに戻ってきて「気をつけ」を令し、演奏が始まりました。

 「かしま」は係留索をほどき出港の態勢になっていきます。ここにいたのでは、ちゃんとした動画は撮れない。私たちは岸壁まで進出することにしました。もちろん傘など差してはいられません。「ずぶ濡れになって午後からの仕事どうすんだよ」という思いもちらっと脳裏をかすめましたが「ずぶ濡れでも仕事はできる。でもこの瞬間は今しかないぞ」ということで、岸壁に進出です。雨に負けるな俺のスマホ

 岸壁は、強風で横殴りの雨です。それでもスマホは頑張ってくれました。頑張れなかったのは私のほうです。途中で断念せざるを得ませんでした。最後まで撮れなかったのは残念ですが、三宅由佳莉さんのファンの皆様に、その乗艦の出港風景の一部だけでもご覧いただけるのは幸いです。

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 「登舷礼(とうげんれい)」のため、甲板上に整列した隊員が「帽振れ」をしているのも見えます。嵐の中の出港もまた、彼らの良い思い出となるでしょう。

 練習艦隊の皆さん、充実した5ヶ月となることをお祈りいたします。