あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

三宅由佳莉さんの効能(9)

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 本当に久しぶりにこのシリーズを書きます。どれだけ久しぶりなんだろうと調べてみましたら、最後に書いたのが昨年の8月4日でした。これまでの記事をご覧になりたい方は下のリンクからどうぞ。

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 しばらく書いてないから書いてみようと思ったわけではありません。

 先日、近所のドラッグストアのレジで清算しようとした時に「おや?」と思ったことがあったのです。

 私を迎えるレジの女性が、何とも風変わりなお辞儀をするのです。両手をぴょこんと鳩尾のあたりまで持っていってから上体を倒すお辞儀です。何となく、「あなたのために礼を尽くしていますよ」とわざわざ言われているような、ちょっと押し付けがましい気がするお辞儀なのです。「何なの?」と思ったのですが、よく見ると他のレジでも男女問わず、店員の皆さんがそのようなお辞儀をしていましたので、おそらくこのドラッグストアでは接客の「礼儀作法」として教育しているのだと思います。

 生粋の日本人である私にとって、お辞儀とは形と心が一致したものだとの思いが強いものですから、変に形が前面に出るようなお辞儀には抵抗感があるのだと思います。こんなお辞儀が今流行っているのでしょうか。もっと自然なお辞儀がいいな。

 そんな考えを巡らせながら家に帰る道すがら頭に浮かんだのが三宅由佳莉さんの立ち居振る舞いでした。

  このブログを始めたばかりの頃、「三宅由佳莉さんのお辞儀と敬礼」という記事を書きました。あの当時、一番書きたかったことだったのだと思います。

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 何しろ、歌い終えた後の三宅由佳莉さんの凛とした立ち姿と、背筋をピント伸ばしたまま深々と首を垂れるお辞儀の美しさに新鮮な感動を覚え、目が釘付けになっていたのですから。

 慇懃に過ぎることなく、かと言ってカジュアルに流されることもなく、ご自分の身の丈に合った、そしてご自分の心に沿ったお辞儀をされているんだと、私は思います。だからこそ、美しいだけでなく、押し付けがましいところのない、とても自然な振る舞いとして映るのではないでしょうか。

 そんな三宅さんのお辞儀を集めた動画を編集してみましたので、是非ご覧になってください。歌い終わった後のお辞儀、演奏会場でのファンの皆様との交流の場でのお辞儀、テレビ番組の取材を受けている時のお辞儀などを紹介しています。そして最後に、軍歌や海上自衛隊の隊歌などを歌われた後の「敬礼」としてのお辞儀も収録しています。

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 先日書いた「初心忘るべからず」という記事の中で、三宅さんはある意味思想家なんだと思うと書きました。ご自分に舞い降りた思想を、書物に記すのではなく自ら実践して示す、実践型の思想家であると。

 いつも逃げ道を作っておきたい「なんちゃって」文化が支配的な現今の我が国にあって、世相や流行り、他人の思惑などに左右されることなく、ご自分の信ずるところに従って独自の世界というものをきちんと作り上げておられるんだと思います。

 三宅さんはあるインタビューで「(他の)隊員からは、”不思議ちゃん”て呼ばれています」と答えてらっしゃいますが、それこそが、一般に「常識」とされていることに盲従するのではなく、 例え独りであろうとも、ご自分が納得できる道を決然として歩まれている証左であるように私には思えます。

 孤高の歌姫…

 そう書きたいところですが、三宅さんからは、そんな肩肘張ったイメージは微塵も感じられません。何をやるにしても屈託がなく、どこまでも自由で自然です。「素朴」と言った方がより相応しいのかも知れませんが、素朴と言うにはあまりにも華やかですし、三宅由佳莉さんは本当に書き手泣かせです。

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 そんな三宅さんの自然で、素朴で、しなやかで、かつ華やかな立ち居振る舞いが多くの人々に感銘を与え、また魅了しているのは間違いありません。

 そして、感銘を受け、魅了されているのは一般の国民だけではないと思います。多くの現役自衛官三宅由佳莉さんの立ち居振る舞いに感化されているに違いないと思います。私自身、現役の頃に「出逢って」いたならばそうなっていたであろうことが容易に想像できるからです。

 私には、そんな風に感化された現役自衛官の筆頭が荒木美佳さんなのではないかという気がしています。私が初めて荒木さんを間近で拝見したのは、昨年7月7日、川越で行われた3自合同演奏会のロビーでした。たくさんの観客や陸海空音楽隊員がいる中で、荒木さんの姿だけが、まるでピンショット写真のように私の目に飛び込んできました。

 動画などで拝見する荒木さんとはまた一味違う、そのエレガントな立ち居振る舞いにたじろいだのを今でも鮮明に覚えています。

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 もちろん生来の資質がなければ、あのような優雅な立ち居振る舞いは、そうそうできるものではないのですが、私には、三宅由佳莉さんの物言わぬ思想の系譜に連なる色彩を放っているように思えるのです。

 荒木さんがMCをされている時、三宅由佳莉さんを紹介して会場が湧き上がると、まるでご自分のことのように幸せそうな表情になります。また、ハープを演奏しながらも、ステージ上の三宅さんを目で追って、とても満ち足りた表情を見せてくれたりもします。荒木美佳さんは、三宅由佳莉さんの一番のファンなのかも知れません。

 それはまた、私たちが目にしている三宅由佳莉さんの立ち居振る舞いというものが、ステージ上の仮の姿ではなく、三宅さんの素顔そのものなのだということを雄弁に伝えてもくれるのです。

 そんな本物の実践思想家だからこそ、入隊以来のファンの方も、日々三宅さんに「出逢う」新たなファンの皆様も、等しく三宅由佳莉さんに「落ちて」しまうんだと思いますし、若い方の中には、三宅さんと「出逢った」ことがきっかけで海上自衛隊に入隊された方も少なくないのではないでしょうか。

  物言わぬ思想家である三宅由佳莉さんが放つ波動は、静かに、しかも着実に、その力を遍く行き渡らせようとしているように思えます。