あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

静岡音楽祭での東京音楽隊(詳報)

 先月(2019年1月)の26日、静岡市のグランシップで開催された「静岡音楽祭」に東京音楽隊が出演しました。比較的近場の演奏会ではありましたが、私には行く機会が得られませんでした。でも、現地まで遠征して下さった方がいらっしゃいます。斎藤さんです。先日、速報的に頂いたデータを元に、私なりにまとめた記事を、とりあえず書かせて頂きました。

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 この度、お忙しい中詳報をお寄せ頂きましたので、その全文を掲載いたします。なお、独断で写真や動画バナーを挿れさせて頂きました。ご容赦ください。

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 特派員報告?が、大変遅くなりすみません。「グランシップ」大ホール「海」で1月26日に開催された第38回静岡音楽祭りの様子を少し詳しくお知らせします。

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 私(齋藤)は、当日、開場3時間前の午前9時30分少し前に会場に到着しました。1階は「招待者」の受付になっていて、一般は3階が受付という表示がありましたので、エスカレーターで3階に上がったところ、既に行列用のロープが張られていたので、ここに並べばいいのかなと思い、ほぼ同時に来られていた年配の女性(東京の中野から来られたとのこと)と共に係の方に確認したら、「ここは、12時30分の開場後に並ぶところで、それまではホールの入り口の外に並んでもらう形になります。例年そうですので」という話があり、「なんで? 3階から1階のホールスペースまでも考えれば、招待者スペースを除いてもかなりの人は並べるはずなのに」と思いながらも、仕方ないのでホールの入り口を出たちょうどのところに並びました。この日は快晴でしたが、風はすごく冷たくて、寒かったです。陸海空の音楽隊がそろうので、もともと、かなりの人の来場が予測される上に、今回は、東京音楽隊三宅由佳莉さんが出演されるので、従来以上の来場者があり、すごい行列ができるであろうことは当然予想できるはずなのに、大勢の人をこの寒空の下で待たせるのは何なの?とも思いました。案の定、
開場1時間前には、入り口から東静岡駅の方に向かってすごい行列ができました。
真冬のこの時期、高齢者の方もたくさん並んでおられたので、みなさんの健康面を考えると、階段スペースを使ってでもホール内に入れてあげるのがよかったのではないかと思っています。

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 12時30分に開場して、3階の一般受付に移動し、先頭に並びました。開場して3階受付から入ると、(当たり前ですが)ホールの3階席になります。1階席に行くには、階段を2階分降りなければなりません。駆け下りて最前列付近に行くと、予想はしていましたが、真ん中のブロックの8列目くらいまでは招待者席になっていて座れません。左のブロックも1列目は出演者席(どうやら、音楽祭の各出演団体の代表に花束を渡す役の人が座る席だったようです)とかで座れず、どうにか、実質最前列の左ブロック2列目の一番真ん中よりの席に座りました(ステージと席の間がかなり空いていて、例えばオペラシティとかだと、7~8列目という感じです。横須賀自衛隊ふれあいフェスタの最前列とは、距離感がえらい違います・・・)。

 前置きが長くなりすみません。中味に入ります。総合司会は、確か地元のアナウンサーの方(女性)だったと思います(普通はプログラムに総合司会者の名前や簡単な紹介文も載っているのですが、全く載っていませんでした)。

 第1部は、この春に入隊・入校する静岡県出身者の激励会です。冒頭、三宅さんの国歌独唱がありました。ステージの正面上部に向かって左に国旗、右に静岡防衛協会旗が掲揚されていて、三宅さんは、国旗に向かって正対し、凛としたたたずまいで国歌を独唱されました。とにかく崇高なまでに美しい「君が代」です。

(↓↓↓昨年12月の防衛セミナーでの国歌独唱を収めた動画です)

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 これほど美しい「君が代」を歌える人が他にいるでしょうか?三宅さんの国歌独唱が聴けただけで、3時間寒空で並んだ甲斐があったという感じでした。私、三宅さんの出演する演奏会(バックが東京音楽隊以外の演奏会も含め)に行くのは、この日が64回目ですが、(61回目までに聴かれなかった)三宅さんの国歌独唱(国歌斉唱は1度ありましたが)を、昨年12月18日の防衛セミナーの冒頭のとき合わせて、何と2か月続けて、生で聴けるなんて、本当に幸せな気持ちでした。

 国歌独唱に続き、主催者である静岡県防衛協会会長から、入隊・入校予定者への激励を込めての挨拶があり、引き続き、地元の国会議員である上川陽子衆議院員ほか1名から激励の言葉がありました。入隊・入校予定者は、2階席の真ん中あたりにまとまって座っていましたが、司会者から彼らの紹介があり、第1部の最後に入隊・入校予定者を代表して防衛大学校入校予定者の浅井應孝さんの挨拶がありました。きりっとしまった、いい自衛官になるなと思える立派な挨拶でした。

 第2部の音楽祭に入ります。トップバッターは、第34普通科連隊らっぱ隊です。客席左端の入り口から、かっこよくラッパを演奏しながら登場し、ステージ上では、起床ラッパから消灯ラッパまでの日課の節目のラッパ演奏とともに、その間に、ラッパ隊の基本教練の様子が、ユーモアを交えて紹介されました。姿勢が悪い隊員や、右向け右なのに、一人だけ左を向く隊員を、指揮官が指摘し、やりとりをする場面をコミカルに演じてくれて、大変楽しかったです(皆さん、なかなかの芸達者です)。

 2番目は、常葉大学付属常葉中学・高校吹奏楽部の演奏です。①You'd Be So Nice To Come Home To ②アニメ「虹の豚」より ③U.S.A  ④We Are the World の4曲を演奏してくれました。派手な、というよりは、しっかりした綺麗な演奏ですごく良かったと思います。プログラムを見たとき、「U.S.A.」とあったので、昨年暮れに聴いた、三宅さんの母校岡山城東高校の吹奏学部ばりのカッコいいオリジナルダンス(あのままのダンスは到底無理なので、部の顧問の先生とかの振り付けによるオリジナルダンス)を期待していましたが、演奏だけだったのは、ちょっぴり残念だったなという感じでした(昨年暮れに、岡山城東高校そして倉敷児童合唱団の「演奏しながら(歌いながら)踊る」というパフォーマンスをたくさん見ていたので・・・)。

 3番目は、航空自衛隊中部航空音楽隊です。①スカイライナー(オットー・シュワルツ) ②夜間飛行(ジェームズ・スウェアリンジェン) ③クウィーン・グレイテスト・ヒッツ(クウィーンの曲のメドレー) ④ジェラート・コン・カフェ(真島俊夫)の4曲が披露されました。
 東京音楽隊とは、また一味違った洗練されたカッコよさを感じる演奏でした。

ここで休憩に入りました。

 4番目は、陸上自衛隊滝ケ原駐屯地の「滝ケ原雲海太鼓」の登場です。昨年11月の自衛隊音楽まつり合同演奏曲でもある「昇龍」、「四季打ち」、「山彦」の3曲を、自衛太鼓の迫力満点に演奏してくれました。リーダーの方が、息を「はぁはぁ」いわせながらMCをされ、(無理ないと思いますが)そのMCのぎこちなさに、客席から笑いも漏れ、楽しい雰囲気の演奏でもありました。

 トリは、東京音楽隊です。この日は、もっぱら静岡という場所にちなんだ曲を演奏してくれました。
 1曲目は、ポップス・マーチ「すてきな日々」 1989年の全日本吹奏楽コンクールの課題曲です。今年が平成最後の年ということで、逆に平成元年の曲をもってきたのではないかと、勝手に想像しています。MCは、いつものように荒木美佳3曹です。

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 2曲目の前に、荒木さんから「静岡県出身の隊員が1人います。」として、望月ミサ2曹が紹介されました。望月2曹は、静岡市出身で、かつ、この日2番目に演奏した常葉高校の出身者でもあるのです。曲目は、その望月2曹をメインにした「クラリネット・キャンディ」でした。ステージ前列にクラリネットパートの面々が、望月2曹を真ん中にして確か5人並んで演奏してくれました。コンサートマスターの横野2曹が一番左だったのですが、2、3階席にクラリネットを向けて吹くサービスをしていました。さすが気のつく横野2曹!

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 3曲目は、いきものがかりの「ありがとう」(NHK朝ドラ「ゲゲゲの女房」主題歌)です。荒木さんから、「いきものがかりのボーカル吉岡さんは、静岡市身、ギターの水野さんは浜松市出身、この曲は、当時、いきものがかりのデビュー5年目の5月5日に555円でリリースされたことでも話題になりました。」との紹介があり、歌は、もちろん三宅さんで、登場するときから、客席からは大きな拍手です。三宅さんは、あらゆるジャンルの歌を、それぞれの歌にふさわしい発声で、かつ、それぞれの歌に込められた想いや雰囲気を体全体で表現しながら歌っておられます。この曲では、いつものようにすみ切った声の中にも、J-POP調の発声を基調にしつつ、ちょっかわいい、甘い感じの声で、さわやかに、明るく歌い上げてくれました。「やさしい言葉と美しい旋律で、ドラマを盛り上げてくれました。」という荒木さんのMCのとおりのこの曲の持つ良さを、三宅さんがステキに表現してくれました。

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 4曲目は、まさにご当地静岡の民謡「ちゃっきり節」です。これを、東京音楽隊得意のラテンのリズムで軽快に演奏してくれました。演奏に回った樋口隊長が叩ティンパニーも、ラテン「ちゃっきり節」の雰囲気を一層きわだたせ、最後は、横野2曹の指揮で締めるという演出で、すごく楽しませてもらいました。

 5曲目は、ハナミズキです。荒木さんのMCによれば、ハナミズキ静岡県「県の花」なんだそうです。そして、荒木さんの「本日は、三宅由佳莉3等海曹と藤沼直樹3等海曹の歌声でお楽しみいただきます。」とのMCに客席から大きな拍手が沸き起こりました。荒木さんが「ありがとうございます。それではまいりましょう。君と好きな人が100年続きますように。ハナミズキ」と応えて、前奏が始まり、三宅さんが、ステージの左端から登場し、少しずつ中央に向かいながら歌い始めました。1コーラス目は、三宅さんの独唱です。1コーラス目が終わりかけたあたりで、ステージの右端から藤沼さんが登場し、中央に近づいてきました。この二人の登場シーン、そう、ご覧になったことがある方ならもうお分かりかと思いますが「美女と野獣」の歌唱での登場シーンに似ているんです。

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 これだけでも、魅きこまれてしまいます。2コーラス目は、最初から二人のデュエットで始まります。藤沼さんの繊細でやさしい声(高音)が、三宅さんの透き通った美しい声に、カンペキにマッチして、ステキなデュエットになりました。
 三宅さんは、ランチタイムコンサートのとき以上に指先の動きと手の振りをつけ、体全体を大きく使って、ありったけの想いを込めて歌ってくれているように感じました。2コーラス目後の間奏で、二人は、「美女と野獣」のときのように、ステージ中央に寄ってきて(客席から拍手が起こります)、1、2回向き合いました。3コーラス目は、「ひらり蝶々を追いかけて・・・」は三宅さんの独唱で、「泣かなくてもいいよ、知らなくてもいいよ」からデュエットです。最後のスローテンポになる「君と好きな人が100年続きますように」を三宅さんが美しい独唱で歌い上げました。私、ウルウルしていましたが、本当に感動的で最高のハナミズキ」だったと思います。これからも是非生で何度も聴きたいですね!

 6曲目は、「吹奏楽のための叙情的『祭』」です。荒木さんのMCによれば、作曲者伊藤康英さんは、浜松市出身ということです。この曲、海上自衛隊大湊音楽隊の委嘱作品で、今や世界中の吹奏楽団にとって重要なレパートリーの一つになっているということでした。そして、その世界初演のときのメンバーが一人、今東京音楽隊にいるということで、荒木さんが、ホルンパートの平出信1曹を紹介しました。

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 この曲、私は、2016年7月の青森での陸海空合同コンサート(三宅さんの「息吹~独唱と吹奏楽のための交響的カンタータ」の世界初演があった日)のときの合同演奏の際に、生で聴いた記憶がありますが、「日本」というものを感じさせてくれるステキな曲だと思います。この日は、「滝ケ原雲海太鼓」から大太鼓を借りて、一層「日本」の趣を感じさせてくれる、東京音楽隊の素晴らしい演奏が披露されました。

 6曲目が終わって、花束贈呈がありました。樋口隊長に代わって地元の望月2曹が受け取りました(こういうところは樋口隊長の気遣いですね)。

 アンコールを求める拍手が続く中、荒木さんが、入隊・入校予定者に向かって「慣れない訓練にとまどうことも多いかもしれません。しかし、同期の絆で乗り切って立派な自衛官を目指してがんばってください。会場のみなさん、どうかの彼らに大きな拍手を」とエールを送り、会場は拍手につつまれました。

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 そして、(こういうところは荒木さんのMCの上手いところだと思いますが)「それではお話が長くなりました。みなさんお待ちかねアンコールをおおくりいたしましょう」ということで、アンコール曲は、陸海空行進曲メドレー(陸自の「凱旋」、空自の「空の精鋭」、そして行進「軍艦」)が演奏されました(もちろん、この日は、2月2日の横須賀自衛隊ふれあいフェスタのときのような三宅さんのサプライズ指揮はありませんでした(笑))。

 最後に、いつもなら、隊長が「おいでおいで」して出てくる三宅さんと、荒木さんが出てこなかったのは、ちょっと残念と思いましたが、東京音楽隊だけの演奏会ではないですしね。


以上です。

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 斎藤さんありがとうございました。盛りだくさんで素敵な演奏会だったことがよくわかります。ハナミズキのデュエットにも驚きました。いつも何かサプライズを用意しているのが東京音楽隊ですね。

 そして、入隊・入校予定者への荒木さんの心のこもったメッセージは、きっと彼らに勇気を与えてくれたに違いありません。