あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

自衛隊音楽まつり2018のチケット

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 昨年も同じタイトルで記事を書きました。

retcapt1501.hatenablog.com

 本当に人気が高く、なかなか当選しない自衛隊音楽まつりのチケットですが、応募された皆さま、今年はどうでしたか?

 音楽まつり自体の前に、チケットまつりが展開されている感がありますが、あれだけの充実した内容であれば、何としても観に行きたいと思うのも当然ですよね。

 昨年の記事でも紹介しましたが、ネット上では音楽まつりのチケットが高値で取引されています。「営利目的での使用」が明文で「禁止」されていますので、そのような形で入手したチケットは「無効」です。

 と、声を大にしたところで、転売はなくならないでしょう。

 「どんな手段を使ってでも観たい」という需要がある限り、チケットは「商品価値」があるからです。

 結局、ファンの自制心が問われている問題なのですが、そうまでして観たいという人気の沸騰は、ある意味ありがたいことでもあり、二分割思考で切り捨てられるほど簡単な問題ではないのかもしれません。私は絶対に買いませんけど。

 さて、そんな自衛隊音楽まつり、今年のテーマは「チャレンジ」です。

 このテーマが選定された背景は知る由もありませんが、陸海空自衛隊を取り巻く情勢を見れば、それぞれが新たな局面を迎えていることがわかります。

 陸上自衛隊は、本年3月、「陸上総隊」を創設し、海上自衛隊自衛艦隊、航空自衛隊の航空総隊と同様、全軍を一元指揮できる体制が整いました(常時指揮ではなく、防衛大臣の命により、各方面隊を隷下に編入して指揮する仕組みが整ったということで、海上自衛隊と似た体制です。)。また、日本版海兵隊とも呼ばれる「水陸機動団」を新編し、戦力化を進めています。

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 更に、昨年12月に導入が閣議決定されたイージス・アショア(陸上配備型イージスシステム)も陸上自衛隊が運用することになります。

 海へ、宇宙へと、その作戦領域が飛躍的に拡大しつつある陸上自衛隊は、まさにチャレンジの真っ只中にあると言えるでしょう。

 航空自衛隊はというと、今年1月、最新鋭のステルス戦闘機F-35Aライトニングの三沢基地への配備が始まり、現在戦力化が進められています。今月行われた自衛隊中央観閲式の祝賀飛行で初めてその勇姿を披露しましたね。ベトナム戦争時代の主力戦闘機だった老兵、F-4EJファントムと逐次置き換えられていきます。

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 それ自体も新たなチャレンジに違いありませんが、もっと大きな課題もあります。

 現在の主力戦闘機F-15Jの後継となる次期主力戦闘機の導入方針の決定が現在大詰めを迎えているのです。今後数十年にわたり我が国の防空を担う主力戦闘機はどうなるのか、まさに大きなチャレンジだと言えますね。

 

 では、海上自衛隊はどうなのでしょう。装備面では、新鋭哨戒機P-1の配備が進められ、哨戒能力の向上が図られていますし、先だってはリチウムイオンバッテリーを世界で初めて搭載した通常型潜水艦「おうりゅう」が進水しました。

 運用面では、積極平和主義の旗印の下、安倍政権が推進する「自由で開かれたインド太平洋戦略」を具体的に裏付ける行動として、8月26日〜10月30日の2ヶ月にわたり、空母型の最新鋭護衛艦「かが」による長期滞洋訓練が展開されています。フィリピン、インドネシアスリランカ、インドに寄港し、それぞれの海軍との共同訓練を実施しました。今月18日には最後の寄港地であるシンガポールに寄港し、同地で開催されていたASEAN拡大国防相会議の出席者らを招いた艦上レセプションを主催して、同会議に華を添えるとともに、絶大なるプレゼンスを示しました。

 同訓練は、昨年、同型護衛艦「いずも」によって行われましたし、来年以降も続けられることになっています。

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シンガポールに寄港中の護衛艦「かが」)

 もちろん、海洋進出を進める中国に対抗して、我が国の生命線である海上交通路の自由な使用を確保していくための、まさに海軍力によるチャレンジです。海軍によるチャレンジについては、以前記事を書きました。

 

retcapt1501.hatenablog.com

 海上自衛隊もまた、大いなるチャレンジを遂行中というわけです。

 このように、陸海空自衛隊がいずれも歴史的な転機を迎え、それぞれ与えられた大きな課題に挑んでいる今だからこそ、音楽まつりのテーマも「チャレンジ」と設定されたのではないかと考えます。

 そして、その内容もまた、私たちをあっと言わせるようなチャレンジングなものになるのではないかと期待が膨らみますね。

 ちなみに、昨年は残念ながら落選組だった私も、今回は幸運にも二日目の第3回公演のチケットを得ることができました。これまで、防衛大学校の儀仗隊員として出演したり、カウンターパートの米軍スタッフを接遇するため、公務で会場入りしたことはありますが、プライベートでは初めて音楽まつりを観る機会となります。

 撮影自由の音楽まつり、どんなレポートができるのか、今から楽しみです。