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海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

三宅由佳莉さんの、音楽まつり2013

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 タイトルをご覧になって、「なんで今、音楽まつり?」と思われたましたか?

 でも、中にはピンときた方もおられるのではないでしょうか。

 そうなんです、「アニュアルレビュー2013」に埋め込む音楽まつりの動画が出来上がったので、そのご紹介と解説をしてみようというのが今回の記事です。

 2013年は、三宅由佳莉さんがアルバム「祈り」で、デビューを果たし、世間の注目が集まっていた年ですから、音楽まつりでの三宅さんが、どのようなパフォーマンスを見せてくれたのか気になりますよね。

 まずは、動画を観てみましょう。

www.youtube.com

 1曲めは、東京音楽隊のドリル演奏に先立ち、ステージ正面にたった一人で登場した三宅由佳莉さんが、太田紗和子さんのピアノ伴奏で歌う「海のおかあさん」です。

 アニメ「崖の上のポニョ」の第二の主題歌とも言われる名曲です。三宅由佳莉さんは、この曲に込められた深い愛を、とても自然に、表情豊かに、そして優雅に表現されています。

 2曲めは、打って変わって勇ましい海上自衛隊の隊歌「海を行く」です。

 陸海空合同のドリル演奏で、最初は空自の行進曲「空の精鋭」を、戦闘機を象ったフォーメーションで演奏、続いて陸自の行進曲「陸軍分列行進曲(抜刀隊)」を、戦車を象ったフォーメーションで演奏した後、次は海自の「軍艦」かと思ったところ、なんと「海を行く」でした。艦艇を象ったフォーメーションで合同演奏される中、ステージ正面に川上良司さんと三宅由佳莉さんが登場し、海自のパートだけ歌唱つきとなりました。やはり、注目を集め、観客の期待も大きい三宅由佳莉さんの出演を可能な限り増やそうという意図なのではないかと思われます。

 歌唱もさることながら、歌い終えた後、川上さんと三宅さんんがキレのいい回れ右をして退場するシーンが見どころです。

 3曲めは、ファイナルでの、全出演者による、復興支援ソング「花は咲く」の合唱で、陸海空自+米陸軍からの男女ペア合計8名によるリードボーカルを務めました。途中、三宅由佳莉さんのソロパートもあり、やはりここでも観客への「配慮」が感じられます。

 そして4曲めなのですが、これはサプライズです。

 ファイナルが終わり、全出演者が退場しああとのラスト。フルート四重奏の穏やかな音色が流れるなか、ステージ手前の暗闇から、ゆっくりとスポットライトの中へ歩み寄る人物こそ三宅由佳莉さんです。そして、柔らかいフルート調べにのせて、しっとりと歌い上げたのが「祈り」でした。

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 動画のこの部分は、音楽まつり初日の11月15日(金)夕刻から上演された回をRUNWAY FUNさんが撮影し、アップして下さった動画から拝借しました。RUNWAY FUNさん、貴重な動画をありがとうございます。

 なぜ、貴重かというと、「祈り」が歌われたのはこの回だけだったと思われるからです。その他の動画をチェックしても、このラストシーンで演奏されるのは、いずれもフルート四重奏による「花は咲く」なのです。下の写真を見てください、三宅由佳莉さんの姿はありませんよね。

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 プログラム構成を考えた場合、ファイナルにおいて客席も巻き込む形で大合唱した「花は咲く」を、フルート四重奏で静かにリフレインし、感動を締めくくるという流れが自然です。

 ではなぜ、この回だけ「祈り」に差し替えられているのか。

 実は、この回には自衛隊最高指揮官である安倍晋三・内閣総理が臨席されていたのです。防衛省の音楽関係事業において、この年の最大の成果と言えるのが「祈り」による三宅由佳莉さんの大ブレイクでした。

 想像の域を出ませんが、最高指揮官に対し、その成果を報告するという意味合いを込めて、ラストに「祈り」を持ってきたのではないかと思えるのです。

 でも、この動画を観て思うのは、各回「祈り」でよかったんじゃないかな、ということです。通常、ラスト演奏を収録した動画には、撮影者の近くに座った人々の会話がひっきりなしに入ってきますし、退場時の混雑を避けるため、席を立って出口に向かう人たちの姿がちらほら見えたりするのです。

 ところが、ご覧になれば解るとおり、三宅由佳莉さんが「祈り」を歌い始めた途端、会場全体が水を打ったように静まり返ります。演奏が終了し、喝采のなか舞台が暗転、終演を告げるアナウンスが入ります。やはり通常ですと、ここで会場はざわつき始め、出口へと急ぐため、席を立つ人が一気に増えるのですが、動画を見る限り、誰一人動きません。さらに、再び点灯したステージにはもちろん誰もいないにもかかわらず、自然と拍手が湧きあがります。そこに、三宅由佳莉さんの「残心」を見出したのでしょう。

 このラストシーンに、私は感動しました。そして、会場全体をそのような気持ちにさせる三宅由佳莉さんの「力」を、改めて見せつけられた思いがしたのでした。