あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

今日は何の日?(5月27日)

 

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(戦艦「三笠」艦上で指揮を執る東郷平八郎海軍大将と「Z」旗) 

  今から113年前、日露戦争が戦われていた明治38(1905)年の5月27日、我が帝国海軍は、当時世界最強の呼び声も高かったロシア海軍バルト海艦隊(バルチック艦隊)を対馬沖に迎え撃ち、約40隻からなる大艦隊の大部分を撃沈して壊滅させるという大戦果を挙げました。

    歴史に名高い「日本海海戦」です。

 戦艦「三笠」艦橋上の露天甲板を一歩も動かずに指揮を執った海軍大将・東郷平八郎の名を世界に知らしめた大海戦でもあります。

    私は、この海戦のことを、「日本人」として誇りに思います。それは、ロシア艦隊を完膚なきまでに叩いたからではありません。また、この戦さに勝利したからでもありません。

 欧米列強による帝国主義的なアジア支配という、止めようもない巨大な奔流に直面しつつも、その流れに身を委ねることなく、国際社会における自らの居場所を、自らの手で獲得しようと、あらゆる障害、あらゆる苦難に敢然と立ち向かった、「我々日本人」の誇り高き挑戦の、この海戦はまさに頂点ではなかったかと思うからです。

 勿論、この海戦に敗れていたならば、「我々日本人」だけの誇りと矜持の問題に終わっていたかもしれません。幸いにして大勝利を収めることができたことで、欧米列強から軽侮され、蹂躙され続けていたアジア地域の名誉回復に向けた狼煙とも言うべき、象徴的な出来事となったのです。

 それまで、アジアの人々は、欧米人に比べて自分たちは劣った民族だと思い込んでいました。劣っているから支配されても仕方ないのだと。それは、欧米人がそのように振る舞い、そのように思い込ませてきたからです。

 日露戦争が勃発しても、「日本もよくやるよなぁ、無駄なのに」と思って見ていた「劣等」民族たちは、日本海海戦での帝国海軍の大勝利に、雷に打たれたような衝撃を受けます。「アジア人が欧米人に勝つ」という、それまで存在するはずもなかった構図を、「我々日本人」が、これ以上ないくらい明確に示したからです。

 「欧米人に戦いを挑んでもいいんだ。」「勝てるんだ。」アジアの人々の中に自信と自覚、そして自立への望みが萌芽した瞬間でもありました。

 長くロシアの圧力に苦しんできたオスマン帝国(現トルコ共和国)では、1890年のエルトゥールル号事件以来、大変な親日国となっていたこともあり、この海戦での日本の勝利が我が事のように喜ばれ、東郷平八郎は、同国の国民的英雄となりました。

 また中央アジア西アジア諸国に親日国が多いのも、その淵源はこの海戦に遡ると考えて良いでしょう。

 この海戦、帝国海軍として勝算があったわけではないでしょう。むしろ勝てる見込みがあったのか疑問です。しかし、勝算があろうがなかろうが、自存自衛のために選択の余地がない以上、死力を尽くそうという、気概が漲っていたことだけは間違いありません。

 「皇国ノ興廃此ノ一戦ニ在リ、各員一層奮励努力セヨ」

 東郷平八郎が「Z旗」に乗せたこのメッセージは、戦を前にした修辞などではなく、我が国の置かれた状況そのものであり、正に背水の陣だったのです。大陸に進出して大ロシアの地上兵力を押し返そうと死闘を繰り広げていたわが帝国陸軍にとって、日本海を経由する海上補給路は命脈を保つ唯一の途でありました。

 これを脅かすロシア海軍を無力化できなければ、帝国陸軍は文字通り袋の鼠と化してしまう瀬戸際だったわけです。

 そうなれば、当然のことながら、ロシアは朝鮮半島までその勢力を伸ばし、以後、我が国は絶望的な脅威に晒され続けることになったでしょう。

 「かろうじて勝てた」

 東郷平八郎の胸中にあったのは、そんな思いではなかったでしょうか。

 戦闘を終えた東郷大将の訓示「勝って兜の緒を締めよ」は、「勘違いするな、我々が強かったから勝てたわけではない。目に見えない英国の支援、いくつかの幸運、そして何より死に物狂いで訓練に訓練を重ねた結果、やっとの思いで勝利を得ることができただけなのだ。そのことを忘れるな、決して驕るな。」という東郷の悲痛なメッセージに思えるのです。

 さて、その「日本海」ですが、日露戦争のはるか以前から、国際社会において既に確立した名称でありましたが、かくして、覚悟と気概をもって海上優勢を守り抜いた我が国の名が、かの海に冠され続けているのは至極当然のことではないでしょうか。

 近年、この海の名称を、自国の呼称である「東海」に改称せよと、国際社会に訴えている国があるようですが、何をか言わんやです。

 この海戦については、丁字戦法や東郷ターンなど、戦術面で注目されることも多いのですが、私は「我々日本人」の気概と矜持の象徴として胸に刻んでいます。

 NHKは、莫大な費用をかけた「坂の上の雲」を、「総力を挙げて」制作したと自慢していますが、毎年5月27日に行われている対馬沖の洋上慰霊祭のことを、ただの一度も報道したことはありません。

 日本人が誇りに思いそうなことは報道しないという方針なのでしょうか。

 そんなNHKに受信料を払う必要があるのか、疑問に思いますが、「坂の上の雲」の出来栄えが良いので、何とももやもやしてしまいます。

 そんなもやもやを晴らすため、ikoan01さんがアップしてくださっている三宅由佳莉さんの「Stand Alone」に、「坂の上の雲」の日本海海戦のシーンを乗せて編集してみました。是非ご覧ください。

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