海上自衛隊用語の続きです。
今回のタイトルは「かんぱんそうじ」です。
甲板とは、船のデッキのことです。海上自衛隊ですから、艦艇がたくさんありますし、その艦内の甲板を掃除するんだから、甲板掃除なんだろうな、と思われますよね。
でも、陸上部隊でも、航空部隊でも、海上自衛隊の全ての部隊で「甲板掃除」が行われています。
「航空部隊のどこに甲板があるのだ?」
そんなものはありません。
海上自衛隊では、艦内に限らず、館内、構内の清掃のことを「甲板掃除」と呼んでいるのです。
防衛大学校の学生時代、乗艦実習に参加した際には、「甲板掃除」と聞いても、艦内のことですからなんら不思議ではなかったのですが、防大を卒業し、広島県の江田島にある海上自衛隊幹部候補生学校に入校した際には、非常に違和感を感じました。
「何が甲板掃除だよ、普通に構内清掃でいいじゃないか」
と思ったものです。
でも、これも帝国海軍からの慣習で、全てのことを艦艇での勤務を念頭に置いて考えるようになっているのです。
艦艇部隊と航空部隊がともに大戦力として並存している現在においては、なんだか不合理にも思えるかもしれませんが、そうだからこそ、一つの共通した考え方の基礎というものが必要なのではないかと、今では思います。
余談ですが、海上自衛官にとっては「掃除」のことを普通に「甲板掃除」と言っているものですから、陸・空自の隊員と話をするときにも「甲板掃除はやらないのか」などと質問して「やるわけねーだろ」と言われることがあるようです。
言葉の壁はいたるところにあるみたいですね。