あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

「変わらぬ息吹ガラパゴス」

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 遠洋練習航海の続きです。

 ヨーロッパのような綺麗な街並みが印象深いチリのバルパライソを後にした我が艦隊は、一転北上し、ペルー沖を通過してエクアドルグアヤキル港に入港しました。

 エクアドルは、英語ではEquator、つまり「赤道」を意味します。その名のとおり、赤道直下に位置しています。

 遠洋練習航海部隊のエクアドルへの寄港は、14年ぶりのことでした。

 私たちが入港したグアヤキルは、上の写真でもわかるとおり、色鮮やかな建物が所狭しと立ち並ぶカラフルな街でした。

 南米の都市は、昔の砦や要塞から発展したところが多いように思います。グアヤキルもご他聞にもれず、旧要塞跡や、サン・マルチン将軍、シモン・ボリバル将軍など、この国の独立のために戦った英雄たちの記念碑などが遺されています。

 この国で印象に残ったのは、貧富の差の大きさでした。もちろん、随分昔のことですから、現在とは状況が異なるとは思いますが、少なくとも当時は、驚くほどの差がありました。

 富裕層の居住地域には、本当に豪華な大邸宅が並ぶ美しい景観がありましたが、貧民街は、大都会であるにもかかわらず、舗装もされていない道路も多く、テント張りで外からの明かりもほとんど差し込まない、暗い店舗の中で、なにやら怪しげな取引がおこなわれているような、なんともいえない雰囲気がありました。

 プライベートでは、なかなか訪れる機会のないこの国の、様々な面を見ることができたのは、本当に意義あることだったと思います。

 さて、イグアナでおなじみのガラパゴス諸島は、エクアドル領であることをご存知でしょうか?

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 グアヤキルを出港した艦隊は、ガラパゴス諸島をはるか左手に臨みながら北西に針路をとります。

 このとき、実習幹部に対し、ガラパゴスをお題に短歌・俳句コンクールが行われました。

 海上自衛隊の艦艇部隊では、洋上での任務や訓練などの節目に、艦長同士が無線交話で、短歌や俳句の交換を行うことがあります。これも帝国海軍以来の習慣でしょう。

 そんなこともあり、実習幹部に課題が出されたわけです。

 それにしても、選りに選って「ガラパゴス」? 

 「いまもなお 変わらぬ息吹ガラパゴス さやけき風に 太古の偲ばるる」

 これが、私の提出した作品で、佳作となりました。

 しかし、大きな問題があります。9月でしたので、秋の季語「さやけき」は一見正しいように思えますが、赤道直下でそれは成り立つのでしょうか。今だに疑問です。