あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

三宅由佳莉さんの憂鬱(2)

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 先回の記事「三宅由佳莉さんの憂鬱(1)」でも書きましたが、三宅由佳莉さんの動画等に寄せられるコメントは、好意的な応援メッセージが圧倒的に多いのですが、もちろんネガティブなコメントもあります。

 ネガティブなコメントでも、三宅さんのバネになるような、前向きに受け止めることができる建設的なものは別に構わないのですが、どう考えても理不尽なものや、ためにする誹謗中傷などについては、自ら反論する機会がない三宅さんに代わり、きっちり反論していこうというのが、このシリーズの趣旨です。
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 ネガティブコメントにはいくつか、パターンがあります。

 まず、全く悪意のない、単なる無知に基づくもの。 

自衛官が歌ってどうすんの? なにすんの?

何故自衛官なのか?この人たちは日常普通の訓練とかしてるのかな? いまいち分からない。

 上の二つなどは、そもそも自衛隊に音楽隊があること自体まったくご存知ないため、「制服を着た自衛官が何故、楽器を持って演奏したり、マイク片手に歌っているの?あなたたち自衛官じゃないの?そんなことは仕事終わってからプライベートでやれよ」という 批判というか、苛立ちのようなもののようです。

 でも、こういう方々に音楽隊のことを知ってもらうためにも、演奏活動を積極的に行わなければならないということです。

 

 次は、音楽隊の活動は必要と認めたうえで、その演奏ジャンルを局限すべきというご意見です。①はアナ雪、②はTime to say goodbyeに対するコメントです。

自衛隊にこういう活動が必要なんだろうか。もちろん音楽隊の存在は否定しない。しかしこのような通俗曲までやる必要はあるまい。歌姫など不要である。

三宅さんにせよ鶫さんにせよ日本にいて日本人を対象にしてなぜイタリアの唄なのかなぜ英語なのか進路を間違っているのではないのか?選曲では,防衛省自衛隊からの縛りでがあってなのかどうかは知らないがそれにしても今いる組織での保身のためにしか生きていないと思う。日本国への思いがないのなら自衛隊を離れた専門の世界で頑張ったほうがいいのでは??軍隊で生き、軍隊で生死をともにした先輩が唄っていた軍歌をなぜ歌えないのかこれを言いたい。

 上の二つも、一部は無知に起因しています。音楽隊の使命をご存知ないから、ある意味「身勝手な」要求が出てくるのだと思います。このパターンの批判をされる方は、国民の公共財である音楽隊に対し、「自分の好みの曲だけをやれ」と言っているわけですから、相当自己中心的な発想だと思います。「三宅由佳莉さんの『歌姫への道』」という記事でご紹介した、オペラやクラシックのような高尚な音楽のみをやるべきだ、と主張されている方と、ジャンルが異なるだけで全く同じ発想です。

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 何度も言いますが、海上自衛隊音楽隊の広報に関する使命は、演奏活動を通じて、海上自衛隊に対する国民の理解と支持を広げ、防衛基盤の拡充を図ることにより、我が国の海上防衛に資することにあります。

 したがって、国民の前で演奏する場合には、様々な好みをお持ちの聴衆の、可能な限り多くの方々に満足してもらえるよう、バラエティに富んだ曲目を選定し、練習し、披露しているわけです。年間120回もの演奏会を行っているわけですから、土日も含めて単純計算しても3日に1回のペースで、子供から高齢者まで、あらゆる年齢層の男女に対し演奏を行っていることを考えれば、上記のような批判が出る余地はないのではないでしょうか。

 

 次は、ちょっと毛色が異なります。三宅由佳莉さんの多くの動画に全く同じコメントがいくつも載っていますので、いわゆるプロ市民と言われる方々の音楽隊に対する工作活動なのでしょう。

 自衛隊音楽隊の皆様、素晴らしい音楽、たいへん楽しませていただいております。ありがとうございます。皆様のご活躍を心よりお祈り申し上げます。さて、音楽隊の皆様はもちろん、皆様の同志たる他の自衛隊員の皆様にも、絶対、戦闘に参加するなんてことにはなって欲しくありませんよね。今、全国各地で安保法制反対デモが盛り上がっています。皆様も、これらの集会やデモに参加されてみてはいかがでしょうか。皆様のご参加は、1回参加するだけでもそのインパクトはあまりにも大きく、きっと安保法制は一発で葬り去られることに成ると思います。盛大な歓声を浴びることとなるでしょう。ぜひ真剣にご検討ください。音楽隊の皆さんは、ぜひ上司の方に「一緒に集会とデモに行こう」と強力に誘ってください。

  このコメントの忌々しいところは、いやしくも入隊時に服務の宣誓を行っている自衛官に対し、「安保法が成立すると、あなたたちが危険な場所に派遣されるかもしれません、当然いやですよね、だったら私たちとともに声をあげませんか」と働きかける発想の卑しさ、貧しさ、情けなさです。

 自衛官の服務の宣誓については、この記事を御覧ください。

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 「自分たちさえよければいい、公のために少しでも自分の権利が制限されることは許さない、自分が大事、他の人がどうなろうと知ったことじゃない」という、どこまでも身勝手な自分たちの発想が、どういう思考過程を経ると、自衛官の共感を得るに違いないと いう結論になるのか、全く意味不明です。

 それとも、音楽隊には通用するとでも思ったのでしょうか。

 舐めるなよ。

 音楽隊は、国民と自衛隊との架け橋になるため、常に最前線で戦っている志操堅固な愛国者集団です。

 彼らにとって、理不尽な誹謗中傷よりも、上のような舐めたコメントの方がよっぽど腹立たしいはずです。

    このことだけは、はっきり言っておきたいと思います。