あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

東京音楽隊の当面の予定(2019年6月13日現在)

 先月、東京音楽隊を見学するため用賀にお邪魔した際、音楽科長の本田2尉から、今年度の粗々のスケジュールをお聞きしたのですが、特に地方公演は様々な影響がある可能性があるので、どんなタイミングで記事にして行けばいいのかなかなか難しいところがあります。でも、そうこうするうちに、新しい情報が逐次上がって来ていますので、この辺で一つまとめ記事を書いておこうと思います。

 先日報告したとおり、東京音楽隊はカナダのハリファックスで開催される「ロイヤル・ノヴァスコシア国際タトゥー」に出演するため、来週の木曜日(2019年6月20日)に出国します。東京音楽隊のホームページにもついに公開されましたので、準備が全て整ったようです。6月29日から7月6日までの出演日程をこなし、7月9日(火)に帰国の予定です。

 

 そしてその翌週に予定されているのが、長崎での3自合同コンサートです。7月20日(土)に昼公演と宵公演が行われます。参加申し込みは、往復葉書で明日14日必着ですから、入場ご希望の方は、本日忘れずに投函してください。

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 リーフレットをご覧になればお分かりのとおり、今回は荒木美佳さんのハープ独奏が予定されています。昨年の川越公演では太田紗和子さんのピアノ独奏による「ラプソディー・イン・ブルー」でしたから、2年連続で東京音楽隊の人気プレイヤーによる独奏が行われることになります。東音ファンとしては嬉しい限りですね。

 ハープで奏でられるのは、昨年12月のハートウォーミングコンサートでも演奏された、ヘンデルの「ハープ協奏曲第一楽章」です。トリフォニーホールでの荒木さんの素敵な独奏を思い出します。行きたい、けど流石に遠すぎ(≧∀≦) ハリファックスほどではありませんが(╹◡╹)

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 そして、フィリップ・スパークの「宇宙の音楽」が予定されています。おそらく第二部での合同演奏になると思われます。

 宇宙の始まりから、現在そして未来へと続く叙事詩を7つのパートで織り上げた壮大な作品で、標準演奏時間は16分という大作です。スパーク自身によって吹奏楽のために編曲し直された楽曲は、2005年に大阪市音楽団により世界初演されました。その音源の動画仕立てがありましたので、埋めておきます。

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 陸海空それぞれ単独演奏となる第一部も、今年はどんな趣向が凝らされているのか、自分が行ける訳でもないのに、とても楽しみです。

 

 さて、東京音楽隊見学の時、本田2尉は、合同演奏会のあと24日に帰京すると仰っていました。合同演奏会は20日なのに、帰京が随分遅いなとは思っていました。やはり他にも演奏会が入っていましたね。

 7月22日(月)福岡国際会議場において、博多港開港120周年記念式典の一環として東京音楽隊によるコンサートが開催されます。入場希望者はハガキでの申し込みが必要です。申し込みはすでに始まっており、6月25日(火)必着です。

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 さて、どうなんでしょう。21日と23日が怪しい感じがします。昨年の西日本ツアーのタイトスケジュールを見る限り、この二日も埋まってるんじゃないかと思えてきます。何しろ、全国はおろか、全世界から出演オファーが殺到しているそうですから、地方へ回れば、ただでは帰してくれないんじゃないでしょうか。

 ちなみに、今年はオペラシティでの「音楽の玉手箱」への出演はありません。これは東京音楽隊で聞いた話ではなく、もう随分前に、「いかづち」さんがオペラシティに問い合わせて確認してくれています。

 

 そして8月5日(月)には、東京音楽隊において「青少年のためのサマーフェスティバル2019」が開催されます。楽しそうですね、行ってみたいですよね。でも、対象となるのは33歳未満の青少年です。つまり、海自隊員の募集広報ということなんでしょう。

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 8月下旬(だったかな?)には東北公演が行われるそうです。詳細は今詰められているところでしょうから、また改めてご紹介したいと思います。

 9月14日(土)には、すっかり東音のホームシアターのようになった昭和女子大人見記念講堂での定例演奏会が予定されています。今年も当選するといいのですが、昨年は当選率が高かったので、今年は苦戦しそうな予感がします(≧∀≦)

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 昨年のランチタイムコンサートにゲスト出演された、類家心平さんが、またもやメインゲストで出演されるようです。海自音楽隊のOBである類家さんのトランペットが再び鳴り渡るのですね、楽しみです。当選すればですけど(≧∀≦)

 9月の中〜下旬には甲信越方面の地方公演があるようです。

 そして、今年の観艦式は、付帯行事も含め、おそらく9月28日(土)または29日(日)から10月5日(日)で計画されているんじゃないかと予想します。

 詳細が早くわかるといいですね。私も今回は、乗艦券に応募してみようと思っています。でも、倍率高いんだろうなぁ(≧∀≦) 付帯行事も楽しみですね。

 10月22日(火)の天皇陛下御即位祝賀パレードには、陸空音楽隊とともに、沿道での祝賀演奏が予定されています。東京音楽隊単独になるか、横須賀音楽隊との合同になるかは未定とのことでした。

 10月31日(木)には恒例の「東郷の杜音楽祭」が予定されています。都合がつけば今回もお邪魔したいと思っています。

 11月の自衛隊音楽まつりは、武道館が改修工事で使用できないため、代々木体育館で開催されます。武道館よりも狭いため、東京音楽隊の見せ場である大錨がちゃんと回せるのかどうか、実際に現場で検証したいのですが、代々木の体育館が現在改修工事中で使えないため、CGを使っての検証が行われているとのことでした。大変なんですね、でも是非とも大錨は成功させて欲しいです。 

 12月には、新しいアルバムのレコーディングが予定されているとのこと。内容まではわかりませんが、どんなアルバムになるのか興味津々です。

 また、12月には技能検定が予定されており、音楽科員一人一人の技能レベルのチェックが行われます。皆さん、それへの対応も個人個人で行わなければなりません。

 とりあえず、年内の予定をざっと書き出してみました。今後、新たな情報を付け足しながら詳細を追っていきたいと思います。

 

サンディエゴ

 遠洋練習公開部隊は、間も無く次の寄港地であるサンディエゴに入港します。今回は随分短い航海でしたね。

 本題に入る前に、ハワイでの三宅由佳莉さんの様子を伝える新しい写真が見つかりましたのでご紹介します。「かしま」の艦上レセプションで歌を披露されている姿です。

 三宅さんご自身もですが、音楽隊の皆さんやウェイター役の隊員が皆、気を付けの姿勢でいますので、おそらく国歌独唱ではないかと思います。

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 練習艦隊のハワイでの諸行事に関する写真が沢山アップされていますので、下のリンクから訪ねてみてください。三宅さんの写真だけ拝借しました。

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 では、本題です。

 サンディエゴには、米海軍、米海兵隊の基地が置かれ、第7艦隊とともに米太平洋艦隊を構成する第3艦隊の司令部もここにあります。ちなみに、第7艦隊と第3艦隊の担当区域は、国際日付変更線となっています。ハワイを含む東太平洋を担当するのが第3艦隊、西太平洋からインド洋を担当するのが第7艦隊です。

 サンディエゴには、ミッドウェイ博物館があります。かつて、横須賀を母港としていた空母ミッドウェイをそのまま博物館にして係留してあります。飛行甲板上には各種の艦載機も展示されており、とても人気のある観光スポットになっているようです。

 実は、わが練習艦隊が入港する13日(木)の1900から、このミッドウェイのフライトデッキでは、パールハーバーでも艦隊を歓迎してくれたJUMPによる、毎年恒例の「ビールと酒フェスティバル」が行われます。日米協会や米国笹川財団も協賛しているようですし、我が艦隊も招待されるのではないでしょうか。だって、ねぇ、あんまりタイミング良すぎるじゃないですか。

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 それはそうと、サンディエゴは、南をメキシコと接する国境の街でもあります。メキシコ系の方も多いでしょうし、どこかメキシカンテイストな雰囲気が漂っているのではないかなと想像します。

  野球好きの方ならば、サンディエゴと聞けばメジャーリーグナショナルリーグ)「パドレス」のホームスタジアム、ペトコ・パークが思い浮かぶのではないでしょうか。私が参加した遠洋練習航海では、ニューヨークに寄港した際、練習艦隊乗員がシェアスタジアムで行われたニューヨークメッツの公式戦に招待され、司令官による始球式(観客席から、目の前まで来てくれたキャッチャーにトスするだけですが)も行われました。また、試合開始前には練習艦隊音楽隊による演奏がフィールド上で行われ大喝采を浴びていました。

 今回も、パドレスの公式戦でそのような展開があるのかな、と思い調べてみましたところ、残念ながら、練習艦隊が寄港する6月13日(木)〜16日(日)と全く同じ日程で、パドレスは対ロッキーズ戦のためデンバー遠征中です。

 メジャーリーグの公式戦招待はなさそうですが、同スタジアムでは様々な試合やイベントが行われていますので、練習艦隊乗員の観戦招待や音楽隊による演奏へのオファーが来ているかもしれません。

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 さあ、サンディエゴでは、どんなことが艦隊を待っているのかな?

三宅由佳莉さんの遠洋練習航海(第2レグ)

 6月3日(月)〜6日(木)、パールハーバーに寄港した我が練習艦隊は、現在、米西海岸にある次の寄港地サンディエゴへ向け第2レグを航行中です。

 東太平洋のこの海域は、本当に何にもない大海原です。昼間は来る日も来る日も、360度の水平線しか見えません。時々、イルカの大群が近寄って来てピョンピョン飛び跳ねながら並走して楽しませてくれたりもします。

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 そして太陽が水平線に沈んでいく様を、周囲に何もない状態で眺めていると、地球が球体であることや、自転しているということが感覚的に理解できます。

 また、夜の帳が下りると、晴れた日ならば、それこそ漆黒の天蓋に、見たこともない数の星々が思い思いに煌めき、私たちが大宇宙に抱かれた存在であることを思い知らされます。

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 平素の生活では感じることのできない、そんな巨視的感覚を体験するだけでも遠洋練習航海に参加する大きな意義があると思います。

 尤も、遠洋練習航海部隊の目的は、そんな海のロマン、宇宙のロマンに浸ることではありません。任官したての実習幹部を一人前の「海軍士官」に育て上げることです。遠洋練習航海中は、まだ自分が艦艇幹部になるのか、パイロットになるのか、あるいは後方職域になるのか誰にも分かっていません。例外は、技術幹部として採用された少数の2等海尉(工学系大学院を卒業しているため、3等海尉ではなく2等海尉に任官します)だけです。

 今後、様々な職種に分かれる彼らですが、幹部海上自衛官の「基本」として、艦艇勤務の何たるかを叩き込まれるわけです。

 航海中は、毎日、朝から晩まで、様々な訓練が行われますし、訓練の合間には、航海当直に就き、艦橋、CIC(戦闘指揮所)、機関科などでの当直をローテーションを組みながら実習して行きます。

 中でも、遠洋航海ならではの訓練に、「天測航法」があります。

 航海中の艦船で常に重要なのは、現在の位置(艦位)を途切れることなく把握し続けることです。何をするにしても、現在の艦位が全ての基礎になるからです。

 もちろん、現在ではGPSにより容易に正確な位置情報が得られますが、戦闘艦である以上、大きな損害を被った状態でも任務が遂行できるよう、マニュアルでの高い艦位測定スキルを維持しておく必要があります。

 沿岸部であれば、山頂や島、目立つ建造物など、3つの目標方位を測定することで艦位を得ることができます(三点方位法)。下の写真のように、艦橋左右に備えられたコンパス(羅針盤)で、素早く3点の方位を測定し、その方位角を記憶して、チャート台に向かい、それぞれの目標からの方位線を描き入れます。理論的には、1点で交わる筈ですが、慣れないと大きな三角形ができてしまい、艦位不明となってしまいます。何事にも場数が必要なんです。

 夜間の測定目標は、灯台です。灯台は、一つ一つ光のパターンが異なり、その特徴がチャートに記載されていますので、特定することが可能です。

 では、陸地のない大海原ではどのように艦位を測定するかと言うと、天空に無数にある天然の灯台を利用します。実際に使用される星の数はかなり限られていますが、ある海域のある時刻にどの星が概ねどの方角のどの高さに見えるかと言うことは予め分かっています。ですから、比較的目立つ星を3つ、夜空の中から特定し、それぞれの水平線からの高さを計測します。ある時刻にその星をその高さに見る場所は、一つの線上に限られます。ですから、3つの星の高さを計測することで、自艦の位置を含む3本の線が得られますので、「三点方位法」と同じように艦位が得られることになります。

 でも、実際には言うほど簡単ではありません。六分儀(ろくぶんぎ)と言う専用の器材を使用して星を水平線まで「降ろす」のがなかなか難しいのです。すぐに目標を見失ってしまいます。しかも、星と水平線の両方が見えるのは、夜明け前の非常に限られた時間だけですので、ゆったり構えていたのでは目標が消えてしまいます。

 天測航法も、最初は信じられないくらい大きな三角形しかできませんが、次第に小さくなって行きます。場数です。

 

 

  さて、我らが三宅由佳莉さんはどうしておられるでしょうか。先日、ようやくハワイでの演奏会で歌を歌っておられる写真が在ホノルル総領事館ツイッターで公開されました。艦上での動向については何も情報がありませんが、洋上での勤務ぶりについてちょっと想像してみました。

 音楽隊は、各寄港地で様々な行事をこなします。毎朝の自衛艦旗掲揚では、君が代と訪問国の国歌を吹奏しますし、市中パレードへの参加、慰霊碑等への司令官の献花の際には吹奏で厳かさを演出します。また、かしま艦上での司令官主催レセプションでは奏楽でムードを盛り上げるなど、八面六臂の活躍ぶりです。艦上レセプションや、地元の日本大公使主催レセプションの折には、三宅由佳莉さんの歌も披露されるでしょう。

 ですから、航海中も、音楽隊はそれらに向けた練習やリハーサルを繰り返しているのだと思います。揺れる艦上での演奏練習は、様々な困難が伴うと思いますが、みなさんそれらを克服しながら励んでおられることでしょう。

 そして、ひょっとしたらですが、好奇心旺盛な三宅由佳莉さんのことですから、六分儀を使った天測航法を「やらせてください」とお願いして、やっているんじゃないかと思えてきます。他にも、この機会にしか体験できないことを積極的にやらせてもらっていたとしてもちっとも不思議じゃない、そう思わせるものがありますよね。 多分そんなことをやってる暇はないとは思いますが、そんな風に取り組んでいる三宅さんを想像するのは楽しいことです(╹◡╹)

 

三宅由佳莉さんの小さな変化

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 三宅由佳莉さんが遠洋練習航海部隊の一員として横須賀を出港してから、すでに20日が経過しました。この間、最初の寄港地であるパールハーバーでの諸行事も終え、現在、次の寄港地であるサンディエゴへ向け航行中ですが、海上自衛隊の令和元年度遠洋練習航海オフォシャルサイトは、横須賀出港から5日目の5月26日で時間が止まったままです。この調子では、ハワイでの情報が掲載されるのはサンディエゴ入港後かもしれませんね。

 海上自衛隊からの公開が一切ない中、在ホノルル日本総領事館がツイートしてくれました。6月5日(水)、遠洋練習航海部隊は、在ホノルル日本総領事館とハワイ日米協会の共済によるJUMPプログラムに招かれました。JUMPとは、Japan U.S. Military Programの略で、軍人や政府職員として日本で勤務したことのある現役・退役米国人およびその家族によって構成されるネットワークです。総領事館のツイートによれば、練習艦隊司令官・梶本海将補と米太平洋艦隊副司令官・カーター少将は、地域の平和と安定のため、日米同盟が果たす役割の重要性について確認したとのことです。日米同盟の重要性は当たり前のことではありますけど、あらゆる機会に言葉にして確認し、発信することが重要です。

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 そして、このプログラムでは、練習艦隊音楽隊と米太平洋艦隊軍楽隊のジョイントコンサートも行われました。両音楽隊は、本番前に約1時間の音合わせをしただけで、本番に臨みましたが、素晴らしいハーモニーでゲストの皆さんを魅了したとのこと。三宅由佳莉さんも歌唱を披露されたそうですが、詳細は不明です。

 誰か動画を上げてるんじゃないかと探してみましたが、見つからないですね。もう少し時間が必要かな?

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 ところで、久しぶりに見る三宅由佳莉さんですが、元気そうで何よりです。何を歌っておられるのでしょうか、この表情だけで解る人がいれば凄いですね。

 この写真で見ると、これまでの三宅さんとは違うところがあるのですが、何かわかりますか? お、鋭いですね。そうです、防衛記念賞が一つ増えています。あまり鮮明に写ってはいないのですが、5級章詞のようです。東京音楽隊離任時に、在隊中の功績に対し授与されたものと思われます。え?10年も頑張ったのに5級なの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、三宅さんは途中で3級賞詞を授与され、防衛功労賞も頂いています。

 さて、現在は5つの防衛記念賞ですが、今年10月下旬に帰国し、原隊に復帰すれば、国外訓練経験者として青白縦ストライプの防衛記念賞の着用資格が得られます。また11月1日の自衛隊記念日に合わせて、永年勤続表彰が行われ、三宅由佳莉さんは10年勤続の防衛記念賞(通称赤いきつね)の着用資格が得られます。したがって、今年11月以降は7個の防衛記念賞を左胸に装着することになります。半年あまりで3個も増えるのは珍しいことですが、巡り合わせというものですね。

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東京音楽隊愛知公演異聞……岩田有可里さんのこと

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【本題に入る前に、お願いがあります。訳あって、この記事へのコメントをお受けすることができないことをお許しください。スターは大丈夫です(╹◡╹)

To readers, thank you for refraining from leaving any message to this article. Adding stars is no problem(╹◡╹)】

 トップの写真は、5月8日(水)に赤坂で行われた水曜コンサートで、ベースギターを奏でる岩田有可里さんです。もちろん、私にこんないい写真が撮れるはずがありません。東京音楽隊のホームページに掲載された写真を拝借したものです。

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 ベースギターを演奏している岩田さんは、惚れ惚れするほどかっこいいです。このキリッとした表情から繰り出される重厚なベースラインにひれ伏したファンも多いことでしょう。昨年の6月、岩田さんかっこいいなぁ、という気持ちを素直に書いた記事があります。まだ、お話しはおろか、近くで拝見したこともなかった頃でしたが、書かずにはいられませんでした。

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 その後、コンサート会場などで何度かお話しさせていただく機会を通じて、その飾らない気さくな人柄にも触れることができました。オフステージの岩田さんは、演奏中のキリッとした表情とは別人のような柔和な笑顔です。オン・オフの切り替えを目の当たりにする度、プロの演奏家なんだな、と、当たり前のことを改めて思い知らされます。

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 岩田さんには、名を名乗りご挨拶もさせて頂きましたし、何度かお話しもさせて頂きましたが、ブログで記事を書かせていただいていることをお伝えしたことはありません。ひょっとしたら分かってらっしゃるのかな、とは思いつつ、そんな話題を振るのも烏滸がましい気がするからです。

 そんな折、私にとって大変嬉しいことがありました。

 一昨日の金曜日、斎藤さんから「岩田さんとの出会い(名古屋公演にて)」と題した一通のメールが転送されてきました。

 このブログを読まれている方(Aさん)が、名古屋公演が行われる愛知県芸術劇場で、会場入りする岩田さんとばったり出会い、そこでのやり取りの様子を届けて下さったのです。

 Aさんは、私が時々岩田さんのことを記事にしていることや、先日の東京音楽隊見学の際、岩田さんとお会いできたこともご存知ですから、そのことをお話ししたところ、「(私のことを)もちろん知ってます!ブログも読んでます」と仰って下さったというのです。私が岩田さんのことをブログで取り上げることについて好意的に捉えてらっしゃるようだともありました。Aさんが「(私が)今回、こちらには来ていないようなので、写真を撮らせて頂いて送っても構いませんか?」とお聞きしたところ、私服姿にも関わらず、ブログ掲載も含め、二つ返事で快諾を頂いたとのことでした。

 とは言え、私への連絡方法をご存知ないAさんは、1年ほど前の記事のコメント欄に斎藤さんのメールアドレスが掲載されていたのを思い出し、それを探し当てて、斎藤さんに私への転送を依頼されたのだそうです。ただ、ネットへの情報発信の経験がないため、間接的とは言え、ご自分が提供する情報と写真がブログに掲載されることに不安があるとも書かれていました。ブログを始める前の私もそうでしたから、その気持ちはよくわかります。

 でも、私はとても嬉しかったんです。

 まず、岩田さんが私のブログを読んで下さっていること、そして記事の内容を好意的に受け止めて下さっていることを、Aさんからのメールで知ることができたこと。

 そして、今回、リハーサルを見学してその内容の素晴らしさを知っていながら、しかも敬愛する岩田さんのソロ演奏があることを知りながら、愛知公演に行くことのできなかった私のために、偶然出会えた岩田さんとのやり取りや写真を、不安を抑え、斎藤さんのメールアドレスを探し当ててまで送って下さったAさんの心遣いに触れることができたこと。

 本当に多くの方に支えられて、このブログは成り立っているんだということを改めて感じています。

 Aさんの不安は杞憂なのかもしれませんが、ここまでして情報と写真を提供して下さったAさんにいささかの懸念も抱かせないため、冒頭のお願いをさせて頂いた次第です。ご理解いただけると幸いです。

 Aさんが送って下さった写真です。会場である愛知県芸術劇場の名が写り込むように工夫して下さっています。

 「もう、素敵で笑顔が爽やかで…」メールの中でAさんの文字が踊ります。でも、本当に屈託のない、爽やかで素敵な笑顔ですよね。初めて拝見する私服姿も、清潔感溢れ、「爽やか」の一言です(詳しいことはよくわからない(≧∀≦))。

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 実は、岩田さん、どこから会場入りしていいかご存知なかったらしく、Aさんが「みなさん地下の方から入って行かれましたよ」と情報提供されたそうです。ファンと隊員のこうした触れ合いは本当に微笑ましく感じます。

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 前日の蒲郡公演と名古屋公演の両方をご覧になった方も結構多かったようで、その一人であるAさんは、開演前のステージに並んで置かれたコントラバスと隊旗が、今回の公演でソロ演奏を披露された岩田さんの存在を象徴しているように感じ、蒲郡公演で知り合ったファンの皆様と共に、この「貴重な構図」を撮影されたのだそうです。

 確かに、これは岩田さんのソロを暗示するような構図ですね。愛知公演の記念に相応しい一枚ではないかと思います。

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 Aさんはまた、2日間の愛知公演を通じ、地元の陸上自衛隊の隊員の皆さんの献身的な支援の様子をご覧になり、頭が下がる思いだったと書いておられました。音楽隊の演奏活動が多くの方々の支えによって成り立っていること、みんなで作り上げるものだということを、音楽隊員のみならず、ファンの皆さんも知る機会となる地方公演は、中央での演奏会とはまた一味もふた味も違う魅力があるとも。終演後に、総出でお見送りして下さった陸自の隊員の皆さまに対して、心からの「ありがとうございました」を何度もお伝えしたとのことでした。

 愛知公演の様子についてなかなか情報が得られない中、意外な形で、しかも私にとってはこれ以上なく嬉しい形で、その一端を知ることができました。

 岩田さん、そしてAさん、本当にありがとうございました。

 最後に、本記事に関してはコメントを控えて下さいますよう、重ねてお願い申し上げます。

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【追記】

 英文での紹介記事を書きました。よろしければ併せてお読みください。

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「第一作業隊整列」

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 久しぶりに、海上自衛隊用語解説です。

 今回のタイトルは「だいいちさぎょうたいせいれつ」と読んでください。というかそのまんまですね(≧∀≦)

 パールハーバーに停泊中の遠洋練習航海部隊のことを考えている時に、ふと頭に浮かんだので、書いてみることにしました。

 護衛艦にせよ、商船にせよ、長期航海に不可欠なのは燃料と水と食料です。そのどれが欠けても長期航海を続けることはできません。ですから、長期行動中の艦艇が入港する際には、これらを搭載する必要があります。と言いますか、そもそも補給のために入港するという側面があるわけです。

 もちろん遠洋練習航海部隊も、寄港地ごとに補給を行います。

 各艦が調達する食糧には、「生糧品(せいりょうひん)」と「貯料品(ちょりょうひん)」があります。字面でだいたいお分かりだとは思いますが、「生糧品」とは、長期保存が効かない生鮮食料品のことで、「貯料品」とは缶詰やレトルト、ドライフーズや冷凍食品など長期保存が可能な食料品のことを指します。

 今回の横須賀からハワイまでのように2週間も要する航海では、前半は生糧品中心の食事となりますが、後半は貯料品主体とならざるを得ません。乗員の士気を保つ意味でも、また健康管理の面でも、生糧品は大変重要な補給品です。

 停泊中の岸壁には、納入業者が大量の生糧品を運んで来ますが、これを艦内に運び込むのは乗員の仕事です。補給科員による納入物の検品が終わると、艦内マイクが入ります。

「生糧品搭載を行う、第一作業隊整列、後甲板」

 整列場所は、艦の構造やその時々の状況で異なりますが、例えば艦の後部から搭載する場合には上のようなマイクとなります。

 あ、「マイク?何それ」と思われた方は、だいぶまえに書いた下の記事をお読みください。

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 で、「第一作業隊」による生糧品搭載が行われるというわけです。

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 入港するたび、あるいは何か作業の所用が生じた際、お呼びがかかるのはほとんどが「第一作業隊」で、時々「第二(だいふた)作業隊整列」がかかります。

 防衛大学校の学生の頃、初めての乗艦実習で乗った艦が停泊中、何度も「第一作業隊整列」のマイクがかかるものですから、「第一作業隊の人は大変だなぁ、何となく不公平な気がする」と思ったものでした(≧∀≦)

 実はこの「第一作業隊」、特定のチームを指したものではないのです。そうではなくて、共有されたある概念を表しています。

 「第一作業隊整列」を、普通に言うと「各分隊は、それぞれ1名の作業員を差し出せ」と言うことです。

 そして、作業量が多いことが予想される場合には「第二(だいふた)作業隊整列」となり、意味は「2名づつ作業員を差し出せ」というわけです。

 どうでしょう、「各分隊は云々」と言うより、はるかにスマートかつ明瞭だと思いませんか? やることは一緒でも、「第一作業隊整列」の方が勢いがありますし、艦内に流れるマイクとして相応しいと思います。

 私が遠洋練習航海に参加した際乗艦していたのは、旗艦の練習艦ではなく、随伴艦である護衛艦でしたので、練習艦のしきたりはわかりませんが、多数の司令部要員を載せている「かしま」では、司令部からも「第一作業隊」への派出があるのではないでしょうか。この停泊中に、三宅由佳莉さんら音楽隊員の皆さんも生糧品搭載に携わったかもしれませんね。

 さて、遠洋練習航海部隊のパールハーバー滞在も、間もなく最終日の朝を迎えます。皆さん十分に英気を養うことができたでしょうか。

 おそらく旗揚げ後、多くの方々に見送られながら、練習艦隊は次の寄港地であるサンディエゴに向け、1週間の航程に入ります。

遠洋練習航海部隊の近況(6月4日現在)

 前回の記事で、入港中の行事等に関する情報が得られたら記事にしますと書きました。仕事から戻り、ネット検索を試みました。練習艦隊は既にパールハーバーでの初日を終え、深い眠りに就いている頃でしょうから、練習艦隊か、地元ハワイのプレスが発信した何がしかの情報が得られることを期待して、日本語と英語の両方で検索をかけてみたのですが、今の所何も引っかかりません。検索の仕方が悪いのかな…

 その代わり、航海中の練習艦隊から日毎に送られて来た写真が、海上自衛隊の遠洋練習航海部隊オフォシャルサイトに掲載されていることがわかりました。

 出港時の様子と、外海で艦首を洗う波しぶきの写真を集めてみました。のっけから、ちょっと荒れ模様の海です。嵐の中の船出でしたからね。登舷礼での「帽触れ」も遠くから見ると何気に済々と行われていましたが、近影ではずぶ濡れです。

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 あとは、実習幹部による訓練風景の写真が続きます。

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 5月21日に横須賀を出港してから26日までの分しか、まだ掲載されていませんが、今後、全行程にわたり逐次追加されていくものと思われます。

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 ここではたと思い出したことがあります。

 4月に、「撃たれてみますか?」という記事を書きました、覚えてらっしゃるでしょうか。

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 インスタグラムに三宅由佳莉さんのプライベートと思われる写真が数枚掲載されたサイトを発見したことを報告しました。写真だけを掲載してあり、なんのメッセージもないのですが、何かを語りかけているようで、なんとも不思議なページなのです。

imgbars.com

 一体何なんだろうと思っていましたが、そのうち三宅さんの異動やら練習艦隊への乗組やらが矢継ぎ早に判明して、あたふたする中で、このページから意識が遠のいていました。今回、遠洋練習航海部隊のオフィシャルサイトを見ていて、ひょっとしたらと思ったのは、あのインスタグラムのサイトは、遠洋練習航海に参加することが決まったことを受けて、三宅さんが寄港地から写真とメッセージを送るための場を設定したのではないかということです。

 もちろん、実際にあのページを運営しているのが誰なのかさえわからないのですが、タイミング的に見ても、あり得ることではないだろうかと思っています。

 今のところ新たな更新は行われていません。

 遠洋練習航海部隊のオフィシャルサイトも、三宅由佳莉さんの(?)ミステリアスなサイトも、当面注目して行きたいと思います。